クレーム処理に使う時間を減らすには?

クレームは簡単に起きる

残念ながら企業がクレーム対応に使う時間が無くなることは永遠にないでしょう。

なぜなら製品の品質上の不具合(1次クレーム)と、
対応のまずさから発生拡大するクレーム(2次クレーム)を完全に防ぐことはできないからです。

では、クレーム対応はもう、あきらめるしかないでしょうか?

ただ怒られながら時間が過ぎ去るのを待ったり、あるいは逆に、
社内の対応マニュアルを強化して、うるさい顧客だと感じたら、
致しかねますの一点張りで押し切ったり、するしかないのでしょうか?

そんなことはありません。

確かに、1次クレームは品質管理に任せるしかありません。

でも2次クレームには、まだまだできることがあるし、いままだ出来ていないことがあります。

クレームの源は怒り


クレームの源は怒りです。そして、怒りの源は無視された感覚です。

クレームが悪化するというのは、言い換えるとお客さんが怒り出して止まらなくなるということです。

原因は何であれ、この無視されたという感覚を減らす。

あるいはやり取りの中で、無視よりも理解を増やすことで、
クレームは起きにくくなり、収まりやすくなります。

初めから悪意をもっている人もいるかもしれません。

でも多くの顧客は善良です。

はじめから怒ってやろうなどと思っているわけではありません。

怒らざるを得なくなる何かがあるのです。

何かがあって怒らざるを得なくなっているのに、さらにその気持ちをクレーム担当者に
理解されず無視されたらどうなるでしょうか?

怒りが増してのは当然です。

クレーム対応そのものがクレーム製造機、クレーム増幅器になっていないでしょうか?

もともと怒らないでよかったはずの顧客を、わざわざ怒らせてしまっているケースはたくさんあります。

もともと怒らないでよかったはずの顧客を、怒らないで済むままで
話を進められるようになる。

それだけでも、クレームは減ったといえるはずです。

ポイントは「顧客の気持ちを理解し、気持ちに応答する」ことで可能になります。

例)スーパー銭湯の回数券のトラブル


むかし体験した実話です。

日曜日の午後、たまたま早く仕事が終わったので、
ときどき行く、普段は平日しか行かないスーパー銭湯に電話をしました。

平日限定の回数券を持っているのですが、これを買ったとき店員さんが
「もし週末使いたいときは差額を300円ほど払えば、この回数券が使える」
といっていたのを思い出したのです。

歩いて15分ほど離れた場所にいたので、
念のために電話で確認してから行くことにしました。

そして上記の通り伝えました。

すると、

店員A「お客間のお持ちの回数券の表紙の色は何色でしょうか?」

私「オレンジ色で、表紙に平日のみご利用いただけますと書いてあります。」

店員A「はい。それでしたら差額324円いただければ休日もご利用いただけます。」

私「じゃあ今日行っても大丈夫ですか?」

店員A「はい。大丈夫です。」

その言葉に安心し15分ほど離れたところにある、銭湯に向かい始めました。

そして入り口を入り受付で回数券を出すと・・・。

受付の店員Bは、「このチケットでは、本日ご利用いただけません」といってきたのです。

私「いやいや、さっきわざわざ電話して、使える確認をとれたから来たんですけど。それにこの回数券を買うときに、私は別にそのときは週末使う前提はなかったので質問もしていないのに、売ってくれた店員さんのほうから『もし週末お越しになりたくなったら差額でお使いいただけます』と向こうからわざわざ言ってきたんですよ。」

店員B「・・・確認してきますので、少々お待ちください」

そのまま5分ほど待ちました。

週末の混んだ受付で、一人でじっと待たされるのは、なんだかバツが悪い感じです。

だいぶ待ったあと、さきほどの店員Bと一緒に、
責任者らしき年配の男性(といっても私と同い年くらいですが)がやってきました。

責任者「この度は、ご迷惑をおかけし申し訳ございません。もう分けございませんが、こちらのチケットは平日限定のものなので、やはりお使いいただくことはできません・・・。ご説明不足があり申し訳ございません・・・」

そこまで言われたとき、反論したい気持ちが湧き上がってきました。

もともと私から休日利用について言い出した話ではないし、
ここに来るつい15分前にわざわざ電話連絡して大丈夫というから来たのに、
それはないだろと。

いま書いたとおりのことを、そのまま伝えました。

それに「説明不足」という日本語はおかしいとも思いました。

説明不足とは、説明が「足りなかった」時に使う言葉です。

頼んでいない間違えた情報を過剰に与えられたり、先ほどOKだといったことを覆すのは「説明不足」とは言いません。

「説明不足じゃなくて、間違って伝えただけでしょう。それに・・・」と、
思わず語気が強まります。

すると責任者は、どうやら丸く収めるための対応方法を決めていたらしく、
「お客様、お客様、こちらの話を聴いていただけますか。」といって、私の話を遮りました。

責任者「今回の分は、そのまま差額のみで利用いただけけるよう、対応をとらせていただきます・・・」。

申し訳なさそうに言われれば言われるほど、なにか自分が悪いことを割ることをしているような錯覚を覚えるから不思議です。

それに「今回分は」の意味の解釈がうまくできません。

今回とは、「今日1回」なのか?それともまだ余っている「回数券分全部」なのか?

そこで再度「今回」の意味について、問いかけなおす手間が生まれました。

その不要な手間が増えたこともまたイライラします。

そして、その時は気づきませんでしたが、あとから冷静に考えてみると
あの時の私の無意識は「お客様こちらの話を聴いてください」といわれたことについて、
「あなたこそ、私の話を最後まで聴いていないではないか」
と思っていたことに気がつきました。

そのあとされた、すべての回数券は利用できるようにするという提案は
悪くはなかったけれど、そんなこと以上に心は、
無視され、ないがしろにされたことに対する不満のほうが強かったのです。

(1)そもそも私のほうから希望して、週末でもチケットが差額だけで使えることを知ったわけではない
(2)つい15分前、平日限定と書いてあることまで伝えたうえで了解を得のたのにおかしいではないか?

この当初持っていた根本的な不満はまったく満たされていない感じがしたのでした。

そしていま、こうして話している最中に、
さらに無視されているような体験が積み重なっていくように感じたのでした。

クレームの対応の順番

クレーム対応には順番があります。

たとえば、まずいクレーム対応というのは以下の2ステップであることが多いようです。

・ステップ1 とりあえず謝罪
・ステップ2 具体的対応策の提示

まさに先ほどの責任者がとっとステップです。

「丁重に謝ってから、欲しい商品を渡せばいいだろう」

この考えは一見、正しいようで間違っています。

顧客の脳(心)は「何に不満なのか」をちゃんと理解してくれていない、
関係性が築けていない人の言葉は受け取りません。

では、この例でいう「顧客の真の不満」は何でしょうか?

それは、「土日はチケットが使えない(使いたい)」いう
表面的に見えている事柄そのものよりも、先ほど書いた2つの不満です。

(1)そもそも私のほうから希望して、週末でもチケットが差額だけで使えることを知ったわけではない
(2)つい15分前、平日限定と書いてあることまで伝えたうえで了解を得たのにおかしいではないか?

この2つに対して明確に受け止めること、
そして共感的に理解を示すことがクレームを減らすポイントです。

さらに受付で展開されている会話の中の「説明不足でした」という
的を得ない謝罪により、顧客はより一層「無視された」「ないがしろにされている」と感じ、
怒りが増してしまいます。

事実からずれないこと以上に、気持ちからずれない応答が大切なのです。

裏の主訴を理解する


表向きの主訴は「土日に回数券が使えなくて不満」で間違いありません。

でも、顧客がなぜその表な不満を持たざるを得なくなったのか?

心のワケ(裏の主訴)は何でしょうか?

裏の主訴は

(1)頼んでもないのに、そちらから言い始めたことなのに何?という不満
(2)わざわざ間違いないよう電話したのに、無駄にされた、ないがしろにされたという思い

そしてそこに、今まさにこの場で発生して加わった3つ目の気持ちの無視、

(1)(2)をわかってもらおうと話している最中に、遮られた。あるいは、
的を得ない説明をされたという、気持ちを無視された怒りが加わります。

このように無視されたと感じる体験が重なると、総合的に見て
「この店と責任者は全員、私を大切にしようとする気持ちがない」
と脳はとらえてしまいます。

その時は、怒っている自分を感じながら、それ以上は荒立てず、
あきれながら入店しました。

でも似たようなケースで、火に油を注がれて状態になり激高する人もいるかもしれません。
(もちろん、私より心穏やかに許せる心の広い方もいるでしょう)

口論を見ていると「「そういう問題じゃないだろ!」というセリフをよく耳にします。

そこまで起こるほどのことかどうかは別にして、なぜ怒っているのかはよくわかります。

わかって欲しい気持ちとは違う。気持ちを無視されたと感じているのです。

このように裏の主訴の理解不足と、そこから来る対応のずれが
余計にクレームを悪化させます。

マシな結果をもたらすクレーム対応の順番

気持ちが収まりやすい、クレーム対応の順番は以下のようになります。

ステップ1 期待に応えらえていないことへの謝罪
ステップ2 主訴への共感的理解を示す
ステップ3 主訴に対する謝罪
ステップ4 具体的対応策の提示

具体的な応答例を見てから解説しましょう。

(1)期待に応えらえていないことへの謝罪
「このたびは、先ほど電話では使えるとお答えしたばかりの回数券を受付では使えないとお断りしたということで、不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。」

(2)主訴への共感的理解を示す
「(顧客の言い分を聞き終えた後で)そうでしたか。先ほどお電話で使えるとお答えしただけでなく、そもそも回数券を購入される際に、お客様が求めてもいないにもかかわらず、手前どものほうから、使えると言い出したことだったのですね。それでも念のためにと、わざわざ再度ご確認のお電話をいただいたうえでお越しくださっているわけですから、話が違うとおっしゃりたくなるのは当然です。」

(3)主訴に対する謝罪
「こちらが2回も至らぬ対応をしたことで、受付でお断りすることに、ご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。」

(4)具体的対応策の提示
それで今回の件についての対応といたしまして・・・

この順番が基本となり、おおススメです。

ポイント

(1)期待に応えらえていないことへの謝罪
→1次クレームを入れざるを得なくなった「出来事+その時の感情」をセットにして謝罪にする。

・△ お断りしてしまい申し訳ございませんでした。
・〇 ●●により、不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。

「嫌な思いをさせてしまい」など決めつけ、押し付けにならないように注意が必要です。

(2)主訴への共感的理解を示す

ここは、「裏の主訴を聴きとる」と「共感的に理解を示す」の2つから構成されています。(ちょっと高度です)

裏の主訴とは「出来事についての感じ方」あるいは「なぜそのように怒らざるを得ないのか」という心のワケです。

(3)主訴に対する謝罪

ここでの謝罪は「裏の主訴」の「感情」対する謝罪になります。

ここで「出来事」への謝罪だけになると、顧客は理解されたと感じなくなるので注意が必要です。

× 受付できないといってしまい申し訳ありませんでした(←浅い)

(4)具体的対応策の提示

ここまででちゃんと関係性ができていれば、提案内容は当初用意していた内容のままでOKです。

大事なのは何を提案するか以上に、気持ちを十分わかっている人から提案さんされるかどうかです。

ここに至るまでにちゃんと気持を理解する応答や謝罪が入っていることで、OKでもNGでも受け入れやすくなります。

ときどき、謝罪はしているものの何に対して謝罪しているのかわからない、あるいは、的外れな部分への謝罪をして余計こじらせているケースを目にします。

よく相手の気持ちを傾聴して、何に対して謝ってよいのか自覚してから謝りましょう。

まとめ


多くのクレームは、謝罪の言葉だけ丁寧っぽく入れたら、
すぐに解決策を出して早く終結させようとする、クレーム担当者の焦りが原因です。

・解決策としては提案できること、出来ないこと
・要求を受け入れられること、受け入れられないこと

があります。

でも、どちらの場合でも、怒らざるを得ない気持に理解を示し、
その気持ちに謝罪して損をすることはありません。

少なくても、自分でクレームを作り出すクレーム製造機や、
クレーム増幅器になる確率は減ります。

実際にクレーム対応をしている最前線の方々から、
過去の事例検討をしていてもなかなか生かせないという声をよく耳にします。

それは、裏の主訴の聴きとりと応答の練習ができていないから当然です。

クレームの数を減らす、あるいはクレームにとられる時間をいまより減らしたいなら、
裏の主訴となる気持ちに応答する。

これが基本です。

関連リンク:初心者のための傾聴1日講座

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