「くり返し」が浅くなる原因と対策

「相手の言葉をオウム返しするようにくり返しましょう」

最近では、コミュニケーションスキルを学ぶ人が増えたので、くり返しというスキルを
使う人はだいぶ増えてきました。

ところが、実際、くり返しをされたら(されたら)気持ちが悪かったという風に、
しっくりこない経験を持っている人がたくさんいます。

これはひとえに、気持ちに寄り添っていない表面的なくり返しなのが違和感の原因です。

今日は、なぜ浅いくり返しになるか???

浅いくり返しを脱却するための方法を、一つご紹介します。

入門者にはムズカシイかもしれませんが、初心者以降の方には役に立つ方法です。

よろしけば最後までお付き合いください。

そもそも、なぜ浅いくり返しになるのか?

そもそも、なぜ浅いくり返しになるのか?

主な原因として2つあります。

①くり返すワードが間違っている
気持ちを表すワードが何かわかっていない状態で、いくらくり返しても、
気持ちを深く理解できるような応答にはなりません。

事柄ばかりくり返しているから深まらないという人はたくさんいます。

気持ちを表すワードが何か、理屈から理解するのも大切です。

②そもそも練習が少ない

気持ちを表すワードが何か理屈がわかったら、すぐ深いくり返しができるというものではありません。

理屈がわかったところから、練習の積み重ねが必要です。

くり返しというスキルかなり複雑なことをしています。

1.会話全体を聴きとる
2.聴きながら「事柄」と「気持ち」に仕分けする
3.いわれた内容により、聴き手の心のフィルター(準拠枠)が動く
4.自分の心のフィルターの動きにしっかり気づく
5.自動反応しそうになる心のフィルターを脇に置く
6.相手が使った言葉でくり返す
7.その際、自分が感じた気持ちを共感的な姿勢で言葉を乗せる

これがしっかりできたとき、初めて深い共感を伴ったくり返しの応答になります。

練習しないで上達することは、スーパーマンでもできないのは明白です。

以上①②が大切ということを大前提としたうえで、今日はもう一歩踏み込んだ提案をしたいと思います。

3つ目の原因「深層感情」への応答

別の視点から3つ目の原因を提案します。

③一次感情にしか応答していないから浅くなる

たとえ同じくり返すにしても、いま出た表面的な感情だけ、
ただくり返しているから浅いままで深まらないのです。

今回は便宜上、最初に表出した感情を「1次感情」
それ以降の深い感情を「深層感情」と呼ぶことにして解説を進めます。
(※「深層感情」は私、岩松正史が勝手に作った言葉です)

1次感情の下にある2次感情、3次感情という深い階層の感情を理解してくり返せれば、
おのずと受け止めも寄り添いの深さも深くなります。

では、深層感情はどのようにすれば訊き出せるのでしょうか?

いくつか道筋があります。

一つには正攻法でしっかりと1次感情を受容し、共感した態度をとれていれば、
クライアントが自ら深層感情に気づき語ってくれることもあります。

しかしその部分はコツコツ練習すること以外、手の打ちようがありません。

そこで今回、別の方法として提案したいのが、「1次感情に質問する」というスキルです

1次感情に質問する


質問スキルを受け止め力がまだ弱い初心者が使うことはお勧めしていません。

なぜなら質問は両刃の剣です。

こちらから積極的にかかわれる風で便利なものなので、つい質問しすぎて誘導的になったり、
一番大事な本人の気づきの機会を奪ってしまうことになったりします。

私は、カウンセリングの最中も質問のスキルはかなり慎重に使います。

でも、目的を明確にしたうえで上手に使えば、深層感情に知り
深く人と関わるチャンスを得ることも可能です。

では、「1次感情に質問する」とはどういうことでしょうか?

以下の例を見てください。

(例)深層感情への質問の仕方

例1)シンプルな質問

A:「そういわれたら、なんだか気になってしまって・・・」
B:「そう・・・気になってしまったんですね・・・」(1次感情のくり返し)

<1次感情への質問例>
・質問B-1:「・・・どんなふうに気になられたんでしょうか?」
・質問B-2:「・・・気になった、といいますと?」)

例2)葛藤への質問
A:「楽器をとてもやりたくて買ったのに、最近ではいざできる時間があると、なんだか体が動かなくて、また次でいいか…と思ってしまうんです。なぜか、やりたいはずなのにできないんです」
B:「そうなんですね・・・やりたいはずなのに・・・なぜかできないんですね・・・」(1次感情のくり返し)

・質問B-3:「そもそも、そこまで楽器をとてもやりたい!と思ったのはどういうところから、そう思われたのでしょうか?」
(やりたいと思った熱意の心の分けを理解するための質問)

・質問B-4:「また次でいいかなぁ、と思わせているものは何だと思いますか?」
(いいかなぁと流れてしまう心のわけを見つめてもらう質問)

・質問B-5:「また次でいいかなぁ、と思てしまうご自分にはどう思われますか?」
(心が流れてしまう自分のとらえ方への質問)

・質問B-6:「やりたいはず・・・というのは、どこからそう思われるのでしょうか?」
(無意識に発せられた自己概念を深く理解するための質問)

・質問B-7:「最近はとおっしゃいましたが、以前どうだったのでしょう?何かご自身の中で違いはありますか?」
(思い方の変化の有無と質を知るための質問)

このように1次感情にフォーカスした質問をすると、返ってくる答えはその奥にある
深層感情で語ってくれたりします。

気持ちのワードの応答がちゃんとできる人であれば、返ってきた言葉をそのまままた
1次感情の時と同様にくり返しをすれば、今までより1段以上深い
くり返しの応答&受け止めができるようになります。

まとめ

今回の目的は「より深く気持ちを理解し受け止めるためのくり返し」ですから、
以上のような質問の仕方も有効です。
(目的が変われば質問の仕方も変わります)

上記の中には傾聴でよく使われる(と習う)オープンな質問以外に、若干クローズ気味の質問もあります。

オープンかクローズ可という形よりも、あくまで「心のワケ」をより深く理解し、
深く受け止めるような質問という目的から軸がぶれていなければ大丈夫です。

上手に質問をするコツはいつも「何のためにこの質問をするか?」目的を明確にして質問することが大切です。

今回の場合、特に「より深く気持ちを理解したて受け止めるため」の質問ですから、
1次感情に対して深まる質問という軸からぶれないようにしましょう。

1次感情に対して的を得た質問ができれば、クライエントが深層感情を語ってくれる機会が増えます。

気持ちのワードの聴きとりと応答くらいはちゃんとできる状態の人であれば、
語られた深層感情のワードを、そのまま1次感情のワード同様に繰り返すだけで、
理解と受け止めの深さが増すというわけです。

簡単なように書いていますが、入門者には高等テックニックに感じるでしょう。

でも気持ちのワードを聴きとり、くり返すことはできるけれど、
なかなか深まらないという悩みを持っている方には、今回の方法は使えるはずです。

今回の内容はまだ自分にはムズカシイと感じる方がいたら、冒頭の
①気持ちのワードの理解、②正しい練習が足りているか?から見直してみてください。

自分のレベルにあった練習をするのが、最前最良の傾聴スキル上達法です。

言葉は心を表します。

言葉に対する敏感さがないと結局、気持ちの理解も大雑排になるしかありません。

まずは、感情のワードのくり返しの基本をしっかり練習しましょう。

それが傾聴力アップの近道です。

よかったらやってみてください。

関連記事:傾聴で「くり返し」がうまくなる3つのポイント

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